そろそろ相対主義について語っておくか

アケオメ!コトヨロ!*1そんなわけで早速みんなの大好きな「相対主義」の話をするよ。今回は相対主義を概観する前編になるんだ。 はじめに 科学の話やニセ科学の議論が始まると、絶対に出てくるのが「オカルトとか超常現象とかニセ科学とかを信じているわけじ…

2008-12-24エントリコメントへの返信

tittonさんより「簡潔で要領のよい返信」を求められたので。詳しくは「求められているのは当たり前の誠実さではないだろうか - Skepticism is beautiful」のコメント欄を参照のこと。 __ ´: : : : : : : ̄ ̄ 、 / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ .…

求められているのは当たり前の誠実さではないだろうか

はてな匿名ダイアリーの「http://anond.hatelabo.jp/20081222202621」というエントリを読んだ。「池田信夫ってそんなに変なことばかり言ってるか?」を受けて書かれたエントリだ。 8.a.自分のよく知らないことについては発言せず妥当性が高いと思われるこ…

誤用される「プラセボ効果」

プラセボ効果またはプラシーボ効果とは、有効成分を含まない薬(偽薬・プラセボ)を摂ったことによって生じたと考えられる効果のことです*1。比較的狭い定義をするとすれば比較対照実験において統制群プラセボ群に認められた効果といったところでしょうか。 …

ニセ科学批判者曰く「うわ、そんなことありえないよ」

どう「ありえない」のか 僕らが「ありえない」というとき、それは論理的にありえない*1とか、物理的にありえない*2なんて事をいってるんじゃない。ただ、それを「妥当な結論である」と判断するなんてありえないと言っているのだ。 だから、「科学は絶対じゃ…

科学を信仰してもいいよ。それが本当の科学ならね。

ニセ科学批判批判で「素人には科学の成果が正しいかどうかなんてわからない。科学科学って言うやつも、結局のところ科学の出した結果を信仰してるだけ」なんて話をよく聞く。なんというか、もう科学なんか信仰しちゃっていいよ。本物の科学なら。なにか問題…

責任を果たさなければならないのは全国民だ

「404 Blog Not Found:「科学者よ、責任を果たせ」 - 書評 - 大槻教授の最終抗議」というエントリを読んだ。『大槻教授の最終抗議』は読んでいないが、大槻義彦氏の思想自体はオカルトマニア大槻ケンヂ氏との共著『超常事件簿―オカルトファイル』でも出てい…

科学者だからといって適切に科学的思考を扱えるわけではない*1

たぶん、科学者は科学者というぐらいなんだから、科学的思考を扱う能力は必須だろうと考える人が多いと思う。でも、現実はそうでもない*1。研究にはある程度の決まりきった手順がある*2。それに従うと、科学的思考なんてのをあまり意識しないでまともな結果…

ニセ科学批判の背景にある思想

ニセ科学批判は、その名前から「科学」の活動だと思われているフシがある。私は、「ニセ科学」を「ニセ」「科学」ではなく専門用語だと主張していたのだが、これは別に「ニセ」「科学」でも良いとして、ニセ科学批判を「ニセ科学」「批判」ではなく、「ニセ…

わかってないのに「わかってしまった」人

江戸時代から明治時代の脚気の原因はカビ毒によるものだったか - finalventの日記という記事と、派生した議論を読んだ。 どうもid:finalventさんはニセ科学批判が何なのか、全く理解しないまま、ニセ科学批判を対象に「偽科学*1批判はダメだ」という主張を行…

死ねばいいのに

正直、未だに医者を責めることが、正しい糾弾であると考えている人は、医療崩壊で医者にもかかれず酷い目に遭えばいいのにと思う。そこら辺の人は、自業自得だし自己責任だよね。そういう事態になったらもちろんとばっちりを受ける人もいるし、僕も影響を受…

江本勝はランディの100万ドルチャレンジから逃げていた

21日のエントリ*1のコメントに氷村さんという方からコメントが付いた。氷村さんの情報によれば江本氏の日記で、江本氏が100万ドルチャレンジの事を知っていることが触れられているというのだ。というわけで日記を確認してみると、確かに江本勝氏は100万ドル…

江本勝はランディの100万ドルチャレンジに挑戦せよ

「「水からの伝言」の海外での受容について少し - 火薬と鋼」という記事を読んだのでちょっと。超常現象バスターのように扱われているジェームス・ランディ(James Randi)が、2003年に「水からの伝言」に触れています。海外でも水伝の受容は5年も前から問題視…

地球温暖化問題の結論だけを3行で説明してみた

正直、地球温暖化問題は議論が多すぎてわかりにくい。というわけで、今のところ私が結論と思うところだけを書いてみた。 地球温暖化してるけどアル・ゴアがいうような激しいことは起こらない 京都議定書以上のことをしても金ばっかりかかって効果は殆どない …

続・最悪の教育

前回触れた問題*1について続報がありました。詳しい状況は、kikulogのコメント欄を参照してください。 今回、メールと電話でお話ができ、問題点についてはかなり伝わったと思います。今後の役員会でも、それをふまえて、今回の件について議論をしていきたい…

最悪の教育

もうニセ科学関連を扱っている様々なブログで触れられているため、私が改めて触れる必要もないかと思ったのだですが、やはり「これは本当にひどい」という感情は吐き出しておいた方がよいと思ったので。 会場には120名もの校長が集まっていたのだから、疑問…

レタスの発がん性はアフラトキシンB1の5倍

Pesticide Residues in Food and Cancer Risk*3では、HERP (human exposure/rodent potency)という値を用いて発がん物質を評価している*4。ヒトでの平均暴露量を、げっ歯類で半数の発がんが見られる用量(TD50)を割って、その数値が高いほど発がんリスクが高…

本当に「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」なのか?

「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」というエントリが話題になっていて、その心理的な戦略(メカニズム)を分析したとする「「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」のメカニズム - シロクマの屑籠」も話題になって上がっています。後者のエントリの…

ABO FANさんとのコミュニケーション ー コメント欄の整理

ABO FANさんとのコミュニケーションにおいては、前提を共有していないことを起因として話が拡散し、流れをつかむのが非常に難しいことが多くなります。今回、ちょっとした試みとして、「ABO FANさんの質問に答えてみたーABO FANさんとの対話実例 - Skepticis…

コメント欄のデザインを変更しました

コメントが多くなると、標準デザインのコメント欄が非常に見づらい状態になるようでしたので、若干スタイルシートの表記を追加して、ちょっとだけ見やすい状態にしました。参考までに今回書いたスタイルシートを公開します。 div.commentshort p { border: 1…

ABO FANさんの質問に答えてみたーABO FANさんとの対話実例

ABO FANさんから質問を頂いたので返答します。ABO FANさんよりも、ABO FANさんの言うことが全然理解できないという人のほうが役に立つかもしれません。質問は以下になります。 質問の内容 菊池聡さんの言う「血液型性格判断の提唱者が述べるような性格の差」…

文章読解力は科学を操る能力に類似したものである(かもしれない)

おそらく人文学系の方で、きちんと研究されているものだと思うのですが、私は人文系の話は疎いため、自分の経験から感じたことを元に書いていきます。id:dlitさん辺りがもっと適切な話*1を出してくれるのではないかと期待してエントリを上げます。 書いてい…

量子力学は科学の方法論に何の攻撃もしてませんし、ダメージを与えたという事実もありません

「はてな」でid:ajtptwtptjaさんに呼びかけられたので反応します。典型的な誤解なので、探せば適切で分かりやすい説明がありそうなのですが、自分の経験にするために返答してみます。ニセ科学問題からは離れます。 量子力学とかについては、間違いがあったら…

科学はその成功ゆえ誤解される運命に

既にどこかにもっと分かりやすい適切な話がありそうなのですが、「はてな」というエントリの「謙虚さが足りない」に対し脊髄反射的にエントリを上げてしまいます。一応、自然科学を頭に置いてますが、科学と呼ばれるのが適切な分野なら殆ど当てはまるものと…

批判をするのならば「いかにして問題」に逃げないこと

経緯*1 もとともは大槻教授が「ムペンバ効果」に対して行った批判*2がダメダメすぎるというところから始まりました*3。その反応として「捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!」というエントリが立ち、「いかにして問題」の話になります。 亀さんのところの…

フェスティンガーの認知的不協和理論(社会心理学 第三回)

さて、ニセ科学批判系の話ではよく出てくるフェスティンガーの認知的不協和理論(congnitive dissonance theory)です。よく出てくる割には意外に教科書的な説明が見つからないです。 基本的説明 獲得した認知間に食い違いや矛盾が存在すると(不協和関係)、…

ハイダーの認知的均衡理論(社会心理学 第二回)

基本的説明 「認知的均衡理論(congnitive balance theory)」は、自分(P)と、他者(O)と、対象(X)の間には、均衡状態と不均衡状態があり、不均衡状態にある場合は、不均衡を解消するように動機付けられるという理論です。以下に均衡状態と不均衡状態の図を示し…

態度と認知的一貫性理論(社会心理学 第一回)

基本的説明 社会心理学において「態度(attitude*1)」とは以下の3要素に分けて考えられるとのことです。 「態度(attitude)」 感情 認知 行動 「認知的一貫性理論(cognitive consistency theory)」は人の「態度」に関する理論です。態度に関する古典的な理…

改めて社会心理学のお勉強をしてみる(社会心理学 プロローグ)

ここでは議論や説得についていくつか記事を書いてきました。今までは通俗書から得た(つまみ食い的な)心理学の知識と自身の議論経験を頼りに書いてきました。本来この手の話は主に社会心理学が対象としてきた分野ですので、ここら辺で社会心理学の教科書的…

特殊な選択的思考の実例としてABO FAN氏発言を見る

池内了『疑似科学入門』の血液型性格判断への言及について、血液型性格判断擁護者としてとても有名なABO FAN氏から具体的な指摘が出ています。実際のところ『疑似科学入門』にはこの手のダメな批判が散見されるので、私も「論じている対象に詳しくないために…