地球温暖化問題の結論だけを3行で説明してみた

正直、地球温暖化問題は議論が多すぎてわかりにくい。というわけで、今のところ私が結論と思うところだけを書いてみた。

  1. 地球温暖化してるけどアル・ゴアがいうような激しいことは起こらない
  2. 京都議定書以上のことをしても金ばっかりかかって効果は殆どない
  3. よりよい未来を作るためにもっと適切な方法があるんじゃないの

1. 地球温暖化してるけどアル・ゴアがいうような激しいことは起こらない

地球は温暖化しているし、海面上昇もしている。そして、それは今の時点では工業化で化石燃料を大量に消費したという人為的な影響も無視できないぐらい大きいといえる。そして温暖化による被害はある。
でも、アル・ゴアが言うように温暖化が原因で海面が6mも7mも上昇して平地が無くなり未曾有の洪水が起こるなんていうことはまずあり得ないし、巨大ハリケーンのような自然災害が強力になりバンバン起こるという根拠もない。
私たちは、既に何度かの温度上昇を経験しているし、何十センチもの海面上昇を経験している。でもそれなりに対処できている。
これは何も温暖化対策を取らなくてもいいと言う意味ではない。でも、終末のビジョンにおびえてヒステリーを起こすのはおかしい。

2. 京都議定書以上のことをしても金ばっかりかかって効果は殆どない

仮に京都議定書の要求を完璧に実現できたとしても2100年までに温暖化を0.15℃改善したり、海面上昇を2.5cm改善するぐらいと考えられている*1。これは温暖化を10年も遅らせることができないことを意味している。
それでも、殆どお金がかからずできるなら、いいのかもしれない。
ところが実際はかなりの経済損失を伴う。さらに言えば京都議定書は実際のところ全く実現されていないわけで、日本だけでも排出権の買い取りで数兆円はかかるのではないかと言われている。環境は悪化してるのに?どうも京都議定書の要求は非現実的なようだ。

3. よりよい未来を作るためにもっと適切な方法があるんじゃないの

リソースは有限なんだから、賢く使う必要がある。
温暖化対策って目的じゃなくて手段のはず。基本に立ち戻って「何を実現するために」温暖化を防ぐ必要があるのか?を考え直し、実現したい目的のための様々な対策案が、それぞれどれぐらい効果的かという費用対効果の計算をする必要がある。
もちろん、それぞれの対策にはそれぞれのメリットとデメリット(副作用)がある*2。どこまでも複雑で面倒だけど、取捨選択はしなければいけない。
必要なのは「CO2は悪」という「予防原則」ではなく、「リスク管理」だ。

どうすればいいのかはわからないけど

今の温暖化対策って、長期的にものを見ているようなふりをしながら、実際のところ短期的すぎるんじゃないだろうか?

ドーキンスの『神は妄想である』で引用されていた話に、私たちが生得的に持っていると思われるような「倫理観」があって、どうもそれは宗教や文化の違いに影響されず、多くの人の間で共有されているようだというものがある。地球温暖化を防がなければならないという気持ちは、この倫理観と同じものに強く影響を受けているような気がする。

路面電車が暴走していて、本線の先の線路の上で 5 人の人間が動けなくなっている。しかし、たまたまあなたが線路の切り替えポイントの所に立っていて、電車の行く先を本線から待避線に切り変えて、この 5 人の命を救うことができるとせよ。ところが間の悪いことに待避線の方にも、一人の人間が線路の上で動けなくなっているのだ。あなたは行く先を切り替えて 5 人の命を救うために一人を犠牲にできるか?


第二問。再び、路面電車が暴走していて、本線の先には 5 人の人間が動けなくなっている。しかし今回のあなたは切り替えポイントではなくて、線路にかかった小さな橋の上にいて、その橋の欄干に大変太った男が座っている。電車が通るタイミングでこの男を下に突き落とせば電車を止められる。あなたはこの男を突き落とせるか?


第三問。またまた、電車が暴走していて、本線の先では 5 人が動けなくなっている。あなたは行く先を切り替えるポイントの側に立っているが、今度の待避線はループになっていて、 5 人の犠牲予定者の直前でまた本線に合流してしまう。よって、普通なら待避線に切り替えても意味がない。しかし、たまたまその待避線の途中で大変に太った男が動けなくなっていて、この男の重量で電車が止まることは間違いない。あなたはこの電車の行き先を切り替えられるか?


第四問。前問と同じ設定だが、今回はループ待避線の方に太った男ではなくて、大きな砂山があるので安全に電車は停止する。ところが間の悪いことに、丁度電車とぶつかるタイミングで、歩行者がその砂山の少し手前で線路を横断しようとしているのだ。あなたはこの電車の行き先を切り替えられるか?


Silent Life of Dr. Hara: 究極の選択

「環境を今のままに保つ」ことで失う命は許容できるが、「浪費によって変化した環境」によって失う命は許容できない。たとえ、「浪費によって変化した環境」によって救われる命の方が多かったとしても。

そんな倫理観がありそうだ。これはニセ科学でよくみる自然信仰にもつながりそう。

*1:[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%AD%B0%E5%AE%9A%E6%9B%B8:title]

*2:もちろん温暖化を防ぐことにも副作用はある