態度と認知的一貫性理論(社会心理学 第一回)

基本的説明

社会心理学において「態度(attitude*1)」とは以下の3要素に分けて考えられるとのことです。

「態度(attitude)」

  1. 感情
  2. 認知
  3. 行動

「認知的一貫性理論(cognitive consistency theory)」は人の「態度」に関する理論です。態度に関する古典的な理論と呼ばれます。

感情の変化に追随し、認知や行動の変化が起こるという研究がきっかけで、上記3点は一貫する傾向があるという話になっています。

下位の理論としてハイダーの「認知的均衡理論(バランス理論)」と、(よく出てくる)フェスティンガーの「認知的不協和理論」があります*2

テキストでは、「感情」「認知」「行動」のそれぞれの例として「臓器移植は嫌」「臓器移植は問題が多い」「臓器移植はしない」という例があげられています。

解釈

「認知的斉合性理論」と呼ばれる場合もあるようです。私なりに、ざっくり一般論として説明するとすれば以下のようになります。

  1. 感情 : 好き-嫌いや快-不快など。直感的。
  2. 認知 : 肯定的評価-否定的評価など。情報を評価した結論。分析的、論理的。
  3. 行動 : 行う-行わないなど。実際に自分がとる行動。

認知的一貫性理論は「人間は自分の態度に矛盾が生じないように動機付けられる」とまとめられる話と考えてよいと思います。「感情」では好きなものを(+)嫌いなものを(-)、「認知」では肯定的を(+)否定的を(-)、行動では行うを(+)行わないを(-)といったように置いてみると、分かりやすいかと思います。

このことから、色々と示唆を得ることができます。例えば、以下のようなことが考えられます。

  • 本当は好きな(感情+)だけなのに、それが正しい(認知+)と思い込んで入れ込んで(行動+)しまうかもしれない
  • 正しい知識(認知+)を持つことで、正しいことをできる(行動+)ようになるかもしれない
  • まずやってみる(行動+)ことで、そのことが好き(感情+)になるかもしれない

ニセ科学関連では、一番上のような話はありがちですよね。また、説得者は基本的に二番目を目指しているのではないでしょうか。

もちろん、上に示したのはあくまで一例であって、望ましいものも、望ましくないものも様々なストーリーが考えられます。また、単純化されてるために考え方が白黒はっきりしているので、程度問題が入ると話が複雑になりそうですね。

もちろん、「必ず矛盾が解消される」というわけではありません。

*1:日常的に使う「態度」とは意味が違いますし、社会心理学の説明で常に「態度」がこれを意味しているのか、今のところ疑問だったりもします。日常的な意味で態度という言葉が使われているときもあるようです。

*2:他にも下位理論として位置づけられる理論はあると思いますが、テキストでは特に取り上げられていません。