医療ネグレクトの通報を行って考えたこと
反省会 - 地下生活者の手遊びでid:tikani_nemuru_Mさんが反省会をしていた。私も通報者*1のひとりとして、似たような座りの悪さを感じていたので、遅くはなったけれど自分なりの反省会をしたいと思う。
私は、今回の行動を起こすこと(起こしたこと)については、行動以前も今も問題を感じていない。しかし、行動したと公表すること(公表したこと)については、座りの悪い思いをしている。
意外だったこと
公表すると決めたとき、まずはじめに手厳しい批判があるだろうことを覚悟した。「注目を集めて目立ちたいだけではないか」とか、「深刻な事態をニセ科学批判のネタにしている」とか、そういう類の批判があるのではないかと思ったのだった。それから、tikani_nemuru_Mさんの思いのように、チェーンメール化の問題もあるだろうと考えた。
ちょっと悩みはしたものの、もっと関係機関にパイプの太い人が動いて欲しいという気持ちもあり、公表することに決めた。投稿では通報や連絡を呼び掛けないよう意識して書いたが、チェーンメール化の意識をもっていたのは間違いない。そんなわけで、私のエントリに対して好意的な内容のコメント・ブックマークが殆どだったのは意外だった。
怖いと思ったこと
今回の件では、私が想像しなかったような量の通報が行われた。これは、ビタミンK問題*2の件の記憶も生々しい時期だったためだろう。自分も児童相談所に連絡しておいてなんなのだが、正直、多くの通報があったことは「怖い」と思った。
何が「怖い」のか、自分でも良く分からない。もしかしたら、2ちゃんねるで行われているような集団通報を伴う「祭り」と似たように感じたからかもしれない。もちろん、2ちゃんねるの方は私刑と呼んでいいものだし、今回の件がそれとは違うことは間違いない。それでも、多くの通報が行われるような状況は「怖い」し「望ましくない」と感じてしまう。できることなら「避けるべきこと」とも感じる。
やれることをやったが…
今回の件では警察の介入によって個人の特定ができ、一刻を争う事態ではないことが判明した。しかし、問題を解決の方向に向けることができたかといえば怪しいとも思う。子供の状況は投稿内容ほどひどいものではなかったということだが、根も葉もない作り話というわけでもないだろう。子供の健康は危険にさらされたままだ。母親がホメオパシーから離れたかといえば、それもまたなさそうだ。ホメオパシーを信じることで子供の健康を害するという構図は全く変わっていないように思える。
しかし、私たちがこれ以上介入する道はないだろうし、やるべきもないと思う*3。
子供にとっての幸せってなんだろうということ
行政やらなにやらが、今回の家庭に介入して、子供がまともな医療を受けられるようにすることは可能だろう。しかし、そういった方法で母親が考えを改める可能性はそれほど高くないとも思う。
そして、外部からの介入によって母親を否定された子供は幸せだろうか。私にはそうは思えない。極端な話、母親の真摯な愛情を受けながら、ニセ医療で死んでいくことの方が幸せだということがありえるのではないかとも思う。しかし、そんな状況は想像もしたくないほど悲惨だ。母親が最初から騙されなければ…周りに説得できる人がいれば…なかなかそううまくはいかない。
やれることをやるだけ
目の前の問題を解決に導くことはできないかもしれない。でも、ニセ科学、ニセ医療を批判していくことは間接的にこのような不幸を減らす力になると信じている。
最後に
今回行動された方や、エントリ内容に賛同していただいた方に対して、ずいぶん失礼なことを書いたと思うので、以下のtikani_nemuru_Mさんの気持ちと同じものを持っていることを表明して言い訳の替わりとします。
昨日のエントリに賛同して行動していただいた方々は、これを読んで不快に感じているかもしれにゃー。みにゃさまには感謝しているし、その行動をおとしめるつもりは微塵もにゃーのです。
ただ、昨日のエントリを書いているその時からひっかかっているものがあり、それがイボジとなって刻々と大きくなっており、このままでは僕のケツが持たにゃーんです。とっちらかってまとまってにゃーものを、あえてそのままあげておこうかと考える次第ですにゃ。