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『未確認動物UMAを科学する』は、確かにUMAを科学している

 なかなかボリュームたっぷりのUMA(Unidentified Mysterious Animal)本が翻訳された。『未確認動物UMAを科学する―モンスターはなぜ目撃され続けるのか』である。

  日本ではUMAが一般的な呼称だが、海外ではCryptozoology(未確認動物学*1)と呼ぶのが一般的である。未確認動物学自体はきちんとした学問というより、未確認動物ビリーバーのものといった様子である。

  この本でメインに扱われているUMAは、ビッグフット、イエティ、ネッシー、シーサーペント、モケーレ・ムベンベである。

  この本は1章をまるまる「科学」部分に当てている。科学の考え方から始まり心理学、生物学と生態学、地質学、古生物学を根拠にすると未確認動物学が科学であるとは認められないことが示されている。ただ、1章まるまるといっても、40ページに満たない分量だ。本文は450ページを超え、加えて索引と註だけで86ページあることを考えると少ない。だが密度は文句なしに高いと言っていい。

  こと「科学」という視点からすると、実はこれだけで十分である。UMAの存在を科学的に検討する価値があるものと認めるためには、様々な分野の知識を覆すだけの強力な証拠が提出される必要がある。UMAそのものといった物証であればクリアできるであろうが、現時点で知られていることや、追加の断片的な状況証拠ではほとんど無理な状態だということがわかるだろう。

  UMAのことがそんなに好きではないのであれば、ここで読み終わっても構わない。それでも得るものはある。

  さて、UMA好きならどうだろう。信じる人も信じない人も「じゃあ、あれはどうなの?」と思うような証拠はあるだろう。ビッグフットの「パターソン・ギムリン・フィルム*2」はどうだ?ネッシーの「外科医の写真」は?

  懐疑的調査は残りの部分だ。そしてこの本が資料として生きてくるのもこの部分だろう。UMAのことに触れたい懐疑論者は必ず基礎資料として読むべき本だ。私は懐疑論者がUMAを語るのなら「まずここから」という基準の本が現れたと考えている。

  未確認動物が存在するという結論は信頼できないという点以外のところで、著者の二人の意見は一致していないらしい。本書一冊の中でも意見はまとまっていない。

 しかし、別に著者の意見・結論は特に気にしなくても良い。懐疑論者は提示された根拠に基づいて自分なりの結論を導けば良いのである。

 

 『未確認動物UMAを科学する―モンスターはなぜ目撃され続けるのか』

 

 

*1:語源は「隠れた生物についての科学」

*2:日本では単にパターソンフィルムと呼ばれることも多い