医療崩壊
医療崩壊に関する議論は稀に見る質の高さ
医療崩壊関連問題のインターネット上の議論を見ていると、医師の医療崩壊に対する危機感がかなり感じられる。コメントも脊髄反射的なものは少なく、コメントの質と量が比較的高いレベルで維持されている。この労力は並大抵のものではないと思われる。
コメントスクラム
医療崩壊を押し進めるような、患者の身勝手な要求をブログで展開した際に、複数の現役医師からの厳しいツッコミが入ることがある。このようなとき、医師のコメントについて「コメントスクラム」という表現が使われる場合がある。これは、医師の医療崩壊を止めようとする情熱が、カルト的な印象を与えてしまっているためではないかと思われる*1。
医療の現場の知識もない素人にとっては、圧倒的な情報の洪水に恐怖を抱く可能性がある。
医師と患者の間の溝
個人的に一番問題だと思うのは、そのような危機感をもって実際に議論をしている人の多くが「医師」又は「医療関係者」であることではないかと思う。
一般市民の間では相変わらず、「医師は頭が良くて高給取りで偉い(または偉そう)」というステレオタイプが存在する。そういったステレオタイプをもった庶民が医師から反論されたら、ドン引きするか、猛烈な反発心を抱いても不思議ではない。陰謀論すらまことしやかに語られるようになる。
医療に関する知識は、他の分野と比べても素人と専門家の間の知識の壁が厚い。そのため、問題点を的確に指摘できるのは、医療関係者になってしまいがちだという現実があるとも考えられる。そういった理由から、私は医師が間違った方法をとっているとは思わないが、戦略的にはあまり成功しない方法をとっているとは思う*2。
行動すべきは私達
私は、間違った医師批判などに反論すべきなのは、私たちのような第三者の庶民であって、専門家ではないと思う*3。
医療の問題は、私たち、そして私たちの愛する人の命が“直接”関わっているのだから、全く他人事ではない。私は自分の大事な人が医者にかかることもできずに死んでいく様は見たくない。
もし、あなたもそう考えるのならば、難しくても面白くなくても、医療崩壊の問題を知るべきだし考えるべきである。もし、そう思うのなら。
無知の生む悲劇が進んでいる
医療に関するおかしな批判の殆どは「無知」から来ていると思う。と、偉そうな事を言っている私も、医療現場についても構造的な問題についても、知っている人から見れば「オツムが弱い」と言いたくなるほどのレベルで無知だった。
醜い自己弁護するとすれば、そもそも知る機会が無かったのだ。このような知識については新聞を読んでも無駄なようだし*4、ある意味知らなくて当然ではないかとも思う。その現状はどうにかして改善すべき点だと思う。
医師には正しい情報を淡々と語り続けて欲しい。そして、医師がそういう行動を取れるだけの余裕を、我々庶民が用意する必要がある。