『検証 予言はどこまで当たるのか』震災への言及もあるよ
『検証 予言はどこまで当たるのか』は、文芸社から出版されたASIOS新刊です。発売日は10/3。古今東西の予言を検証するという内容の本です。安定のASIOS本なので基本は分かりやすく【伝説】パートと【真相】パートを持つ構成となっています。
震災関係のデマや新たな震災が起こるという予言に触れた箇所もちょこちょこあります。
帯コピー
2012年地球滅亡説から、マクモニーグル、ノストラダムス、聖書の暗号やファティマ、聖徳太子や出口王仁三郎等、日本・海外を舞台とした古代から現代までの主要な予言をすべて取り上げ、予言は本当に当たるのかを徹底検証。さらに「予言を信じてしまう」心理にも迫る!
目次
まえがき――予言はどこまで当たるのか(本城達也)
第1章
2012年に人類は滅亡するのか?(本城達也)
「みずがめ座の時代」には世界は大きな変革を迎える?(山本弘)
ピラミッドには過去の重要な歴史が記録され、未来も予言されている?(本城達也)
ジョン・タイターは未来からやってきたタイムトラベラーだった?(本城達也)
ジョー・マクモニーグルはリモート・ビューイングで未来も過去も透視できる?(秋月朗芳)
[コラム]中東の終末予言と予言者たち(羽仁礼)第2章
ノストラダムスは王家の運命から自分の死まで予言した? (山津寿丸)
ノストラダムスはフランス革命を予言した?(山津寿丸)
ノストラダムスは2012年人類滅亡を予言した?(山津寿丸)
ノストラダムスは21世紀のために極秘予言を残していた?(山津寿丸)
エドガー・ケイシーのリーディングは、未来を予言した?(皆神龍太郎)
ジーン・ディクソンの予言の的中率は85パーセントだった?(本城達也)第3章 日本の予言
出口王仁三郎は日本史上最高の予言者だった?(原田実)
聖徳太子は死後2000年の未来を予言していた?(本城達也)
「伯家神道の予言」は本当に存在するのか?(藤野七穂)
『をのこ草紙』は実在した予言書なのか?(藤野七穂)[コラム]予言の心理学――人は無知や愚さから信じるのではない(菊池聡)
第4章 キリスト教・聖書・カルト関連の予言
「ヨハネの黙示録」は神の終末計画書だった?(蒲田典弘)
「ヨハネの黙示録」はチェルノブイリ原発事故を予言していた?(秋月朗芳)
聖書の暗号――聖書は神の予言の書だった?(皆神龍太郎)
ファティマの予言はすべて現実となった?(本城達也)
聖マラキは代々のローマ教皇を予言した?(山津寿丸)
[コラム]UFOと予言「少しだけ先の未来」(秋月朗芳)第5章 こんなにあった! 当たらなかった世界滅亡・大異変予言オンパレード(外れたときの言い訳つき)(山本弘)
予言との賢い付き合い方(座談会)
オーバービュー
個々の項目については、ASIOSのメンバーに加え、ノストラダムス研究家の山津寿丸さんが加わっています。コラムと座談会では、心理学者の菊池聡さんも登場します。個々の項目自体も当然充実しているわけですが、文芸社のASIOS本の特徴はプラスアルファの部分です。
5章の当たらなかった世界滅亡・大異変予言オンパレード
故志水一夫さんの得意としたジャンルに近い雰囲気をもつ章です。怒涛の終末予言(大天変地異含む)は、その数に圧倒されます。この章を読んだ後では、ここまで外れまくっているにも関わらず(もちろん一度も当っていません)新たな予言が出てくるということが、ギャグとしか思えなくなるでしょう。
菊池聡さんのコラム
座談会でも触れられるのですが、震災デマや、これからより悪いことが起こるという予言を信じる心理についての考察が面白いところです。「予言は不安をあおるだけではなく、不安に原因を与える役割がある*1」という視点は、いままで殆ど語られることの無かった視点ではないでしょうか。「人は自分の信じたいことを信じる」→「では、なぜ不幸な未来の予言も信じるのか?」といった疑問についての、ひとつの答えになっています。
菊池聡さんは、そのメカニズムの中心にあるのが「認知的不協和理論」だと言います。色々語りたくなってくるところですが、まずは本書を読んでいただいてからの方がいいでしょう。
座談会
著者達が好き勝手に色々なことを語ります。菊池聡さんが参加していることもあり、心理学系の話題も多いのですが、めくるめく超常現象マニアの会話といったところでしょう。
座談会のテーマである「予言との賢い付き合い方」についての僕の答えは「批判的思考を身に着けるためのネタ」といったところでしょうか。
*1:宙に浮いた不安という感情の正当な理由になってくれる…不安な気持ちの帰属先の役割を担うという話。