ホメオパシーのメカニズムはとてもおかしい
さて、鰯の頭の方が効果があるかもしれない*1と判明したホメオパシーですが、そのメカニズム自体も無理があることを知っておいてもいいかもしれません。
ちなみに、メカニズムが既存の科学との整合性を取れないから「ありえない」と主張するのは「いかにして問題」といわれるもので、使い方次第では良くない批判なのですが、これまでのエントリがあった上で、メカニズムもおかしいという話なので、問題ないでしょう。
ホメオパシーの主張するメカニズム
ホメオパシーは「水に溶けているどんなものよりも、何も溶けていない水のほうがよく効く」という矛盾を孕んでいる。
ホメオパシーは基本的に「患者の症状は、その症状を起こす物質を極めて薄くしたものを与えることで改善できる」という考え方です。この極めて薄いというのがポイントで、「薄ければ薄いほど良い」と主張する人もいます。
どれぐらい薄いかというと、もう想像を絶する薄さです。100倍希釈を30回(30Cと表現するらしいです)繰り返すぐらいの薄さでも普通だという話です。濃度*2は1/10030→1/1060ですね。もっと薄いものになると、1 /10010000→1/1020000(10000C)なんてものもあるらしいです。
アボガドロ定数がおおよそ6*1023ですから、30Cでも薄められた水の中にはもとの物質は1分子も残っていないという状態だと考えるのが妥当でしょう。50Cを超えると観測可能な宇宙の全原子(1080から1085個ぐらいだと考えられているようだ)をもとの物質として用意してすら1原子も残りません。
ホメオパシーの希釈が要求しているのは、原子が1個でも入っていない状態です*3。ここら辺で、普通の人は「ありえない」と叫んでいいと思います。ただ、ここまで来ると、「ありえない」を超えて逆に神聖な感じさえ受けてしまうかも。
ね、オカルトでしょう?
なぜ物質を入れるのか
最終的には分子1個も残らないのに、なぜ物質を入れるのか?という問題がでてきます。もちろんここで導入されるのは「波動*4」です。波動を覚えさせるためだけに物質が必要だというわけです。そう、1分子もない状態でも、もとの分子の波動を覚えているから大丈夫だというのです。いえ、大丈夫どころか、分子が存在しなくなるからこそ神秘性が生まれるというわけです。なかなか苦しい言い逃れですね。
ところで、分子は何を使って薄めるんでしたっけ?そう水です。優れた超純水でも1ppb(1/109)ぐらいの濃度では不純物を含んでいるようです。ホメオパシーの主張する有効成分に比べると桁違いに濃いですね。だから不純物には神秘性が生まれないんですね。
まあ、そんなことはいいのです。ではその水はどこから来たのでしょうか?おそらく地球を回りまわっている水でしょう。もともとのルーツを探れば色々な工業排水も混じっているでしょうし、あなたのトイレからめぐってきたものもあるでしょう。希釈に使われた水は様々な苦難を乗り越え、自然物や人工物をその中に溶かしてきたことでしょう。
ホメオパシーの論理的には、水そのものが既にあらゆるものの波動を記録しているレメディであると言ってもいいかもしれません。もう、超常現象とかオカルトとかの人以外はホメオパシーのメカニズムに同意できないんじゃないでしょうか?
結論
.ト│|、 | . {、l 、ト! \ / ,ヘ | i. ゙、 iヽ / / / ヽ │ . lヽミ ゝ`‐、_ __,. ‐´ / ,.イ \ ヽ | `‐、ヽ.ゝ、_ _,,.. ‐'´ //l , ‐'´, ‐'`‐、\ | ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ ,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、 [ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | } ゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ // . i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./ ` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/ i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::| ! |: | ヽ ー‐==:ニニニ⊃ !:: ト、 ヽ 、__,,.. /:;;: .!; \ ヽ ::::::::::: /:::;;:: / …おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。 ,.ィ , - 、._ 、 . ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__ ト/ |' { `ヽ. ,ヘ N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨ N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′ . ヽヽ.\ ,.ィイハ | _| つまり! ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \ 全ての自然治癒と .  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ > プラセボ効果の . l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ メカニズムの正体は ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' / ホメオパシーのいう l `___,.、 u ./│ /_ 「波動」だったんだよ! . ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、 >、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ _,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/ -‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._ / !./l;';';';';';';\ ./ │ _ _,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i . | |:.l. /';';';';';|= ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 )) l. |:.:.l./';';';';';';'! /:.:.| i´|.ー‐' | / | |. ! l . l. |:.:.:.!';';';';';';';'| /:.:.:.:!.|"'|. l' │-==:|. ! ==l ,. -‐; l |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l | l. | | / // l |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l l、 :| | } _|,.{:: 7 )) l |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ' ::::::|; 7 . l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ ::::::!′ :::| .:/ . l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! /ヽ::: `::: :::: ....::..../ ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |! cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・ ,. -─- 、._ ,. -─v─- 、._ _ ,. ‐'´ `‐、 __, ‐'´ ヽ, ‐''´~ `´ ̄`‐、 / ヽ、_/)ノ ≦ ヽ‐'´ `‐、 / / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ ≦ ヽ i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ ≦ , ,ヘ 、 i ,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、 │ . |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l !_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/ ! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、 /`゙i u ´ ヽ ! !{ ,! ` ( } ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ ! _/:::::::! ,,..ゝ! ゙! ヽ ' .゙! 7  ̄ | トy'/ _,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 / !、 ‐=ニ⊃ /! `ヽ" u ;-‐i´ ! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' / ヽ ‐- / ヽ ` ̄二) /ヽト、 i、 \:::::::::::::::..、 ~" / ヽ.___,./ //ヽ、 ー
間違えました
すみません。調子に乗りすぎました。
希釈作業を開始するときの水(または途中で使われる水)に含まれていた不純物は、論理的にホメオパシーの有効成分(と主張されているもの)と同じように希釈されていきますから、ホメオパシーはどうがんばってもさまざまな不純物のごった煮レメディを作ることになり、自分が望む効果に絞ったレメディを作ることは事実上不可能なのです。ホメオパシーの理論は破綻していると言ってもいいのではないでしょうか。