ホメオパシーFAQ

http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070501/p1
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070502/p1
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070507/p1
ホメオパシーFAQ No.1 〜 No.9 の続きです。

10. ホメオパシーって予防接種と同じようなものでしょ?

ホメオパシーのレメディには、予防接種のように免疫記憶の元となる物質*1が含まれていません。
ハーネマン派の場合は、そもそもレメディの薬効の元となるはずの物質すら含まれていないと言ってもよいでしょう。ホメオパシーのレメディは「その対象となる症状と同じ症状を起こす物質」を含むというのが基本です。しかし、同じ症状を起こすからといって原因が同じはずはなく、根拠は不明確です。
また、ホメオパシーのレメディにはあきらかに連想ゲームで思いついたとしか思えないようなものもあります。*2
病原体への抵抗力を強めるために先に病原体の情報を免疫に教えておく予防接種と、ホメオパシーは全く違うものです*3

11. ホメオパシーは自然治癒力や免疫力を高めるんだから、今の科学の方法じゃプラシーボ効果って判断されるんじゃないの?効果がないんじゃなくて、プラシーボ効果を高めるから分からないってこと。

ホメオパシーの説明として、「レメディには直接的な薬効はないが、レメディがきっかけになって自然治癒力を高める」といった類のものがあります。FAQ 2では、プラシーボ効果に自然治癒が含まれると書きましたので、レメディには効果があるのにプラシーボ効果に分類されてしまうような誤解を生むかもしれません。
しかし、FAQ 3で説明した「二重盲検」の方法を用いれば、上記のような仕組みでレメディが効くとしても、そのレメディの効果を確かめられます。

なぜなら、自然治癒力を高めるきっかけを与える(と主張されている)ものと、全く効果はないはずのものを比べるからです。レメディの効果がどのような仕組みであるにせよ、何らかの効果があるのならば、レメディを飲んだグループと偽薬を飲んだグループの結果には差が出るはずです。FAQ 3で書いたように、現代の科学の方法は「なぜだか分からないが確かに効くのだ」ということでも確かめられるのです。

また、もし「現代の科学の方法で」確かめられないのならば、どのようにしてレメディにそのような効果があると確かめられたのかという問題があります*4

ただ、「自己治癒力」や「免疫力」といった一見医学用語のようで、そうではない用語がいたずらに混乱を招く原因の一端となっているのではないかと思います。健康情報の中で用いられるそのような用語は、医学とは全く関係のない比喩だと考えていた方が無難です。

もしレメディの効果が「自然治癒力を高める。免疫を高める。結果として病気に効く」といったような間接的な効果であっても、本当に効果があるのならば今の科学の方法でその効果を確かめることができます。


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http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070510/

*1:抵抗力を作るために利用する病原体の情報。弱毒化した病原体など=ワクチン

*2:「義務感が強い」ために問題が起きている人には荘厳なイメージの黄金のレメディがいいとか、「はけ口を求めている」人にはヘビのレメディがいいとか、まるで占いのようですね。

*3:同じ理由から減感作療法とも全く異なるものです

*4:はっきり言えば、そのような効果は確かめられていません