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『アメリカ陰謀論の真相』はアメリカ政府の陰謀か

書評

文芸社の高橋様より献本頂きました。ありがとうございます。

本書は、あの『陰謀論の罠 』の奥菜秀次さんが再び陰謀論を取り上げて種明かしを行った本である。内容は陰謀論マニア奥菜クオリティである。

『アメリカ陰謀論の真相』目次は以下に

  • まえがき
  • アメリカは真珠湾攻撃を察知していたが、英国を救い破綻した経済を立て直すため、あえて一撃を待った。
  • 歴史を影で操り、世界戦争を画策する米英資本家の悪行!
  • 20世紀最大の陰謀 − ケネディ大統領暗殺事件
  • 北ベトナム政府はベトナム戦争終結後もアメリカ人捕虜を密かに拘束し、アメリカ政府はそれを知りながら彼らを見殺しにした!
  • 氷山との衝突事故で沈んだタイタニック号は、実はアメリカの大資本家の手で他の船にすり替えられ、故意に沈められていた!
  • キング牧師暗殺犯は冤罪で、真犯人は米政府関係者だった!
  • ロバート・ケネディ暗殺犯は洗脳され、現場には共犯者がいた!
  • ウォーターゲート事件謎の情報源が示す、軍産複合体の魔手!
  • ガイアナ人民寺院集団自殺の背後に、CIAの策謀があった!
  • 911テロ陰謀論
  • 9.11テロの首謀者ビンラディンは殺されていなかった!
  • エピローグ − 感覚と論理の差
  • あとがき − アメリカ陰謀論から見る日本の未来
  • 参考資料一覧

本の構成は「陰謀論」として、世に出回っている陰謀論の説明があり、「真相」として事実が語られるという形式をとっている。つまり、トンデモ超常現象XXの真相やASIOSの謎解きシリーズ などと同じ形式である。この形式だと、そもそも詳しく知らない陰謀であっても謎解きを楽しめるのでありがたい。


ただ、今回の本については「ライト層でも問題なく読めますよ」とは言いにくい面もある。『検証 陰謀論はどこまで真実か』に比べるととっつきにくいというのが正直なところだ。短い文章の中に情報を詰め込みすぎているところがある。ただし、それはより深く真相へ切り込みたい層にとっては、メリットとなるだろう。読み物ではなく、資料として扱いたいところだ。


個人的には、調べよう調べようと思いつつ、全く手付かずでほったらかしにしていたジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関する陰謀論が、90ページにも渡って、詳しく取り上げられている点がうれしかった。
私が知っていた結論はオズワルド単独犯説が有力というぐらいのところだった。私の中の最大の謎として「政府文書が2039年まで非公開なのはなぜか?」という疑問が残っていた。オズワルド単独犯ならば、単なる殺人であって、なにも機密にするような情報などないと考えるのが適当だろうと。
この本によれば、2039年まで非公開だったはずの資料は既に公開されているらしい。私が知らなかったというだけで、最大の謎でもなんでもなかった。機密になった理由はNSAとK○○関係なのだろう*1


ケネディ大統領の陰謀論については、UFO関連の陰謀論*2と似た面もある。よく考えればUFO陰謀論も同世代のものだ。そう考えると、お互いがお互いの手法を真似して使っていたのではないかということも考えられる。1980年代以降のアメリカは陰謀論に染まっていた。アメリカの陰謀論史という視点で捉えてみるのも面白いかもしれない。


陰謀論者がどのようにして陰謀を作り上げたのか。どのようにして荒唐無稽な陰謀論に説得力を持たせたのか。陰謀論メーカー達の手法は同じことの繰り返しである。この本でそういった手法を知っておくことは、今後も必ず現れる陰謀論を見極める力となるだろう。


陰謀論を信じる人々に対する評価や、ソーシャルメディアに関する考えなど、奥菜氏の考え方に同意できない点はあるものの、資料の質には影響はない。


最後に、これだけは絶対に言っておかなければならない。ところどころで出てくる「正直、すまんかった((c)佐々木健介)」とか「禁則事項です((c)朝比奈みくる)」とか・・・については、ハードな地の文から非常に浮いている。奥菜氏には猛省していただきたい!!


『アメリカ陰謀論の真相』

*1:機密の理由はこの本でも語られていないので、私の推測にすぎないけれども

*2:政府は宇宙人との密約を隠している…という陰謀論