ハイダーの認知的均衡理論(社会心理学 第二回)

基本的説明

「認知的均衡理論(congnitive balance theory)」は、自分(P)と、他者(O)と、対象(X)の間には、均衡状態と不均衡状態があり、不均衡状態にある場合は、不均衡を解消するように動機付けられるという理論です。以下に均衡状態と不均衡状態の図を示します。

例えば、図の2番は、「pさんが嫌いなoさんが、pさんが嫌いなxに肯定的である」、5番は「pさんが好きなoさんは、pさんの好きなxに否定的である」と捉えると、前者が安定している状態で、後者が不安定な状態であることが理解できるのではないでしょうか。

認知的均衡理論は、このような不安定な関係を解消しようと動機付けられるのですから、oの評価やxの評価を変化させることによって、均衡状態にもっていくように動機付けられるということです。

不均衡状態を解消するように動機付けられるだけでなく、不均衡状態よりも均衡状態の方がよく記憶されるという研究もあります。

解釈

純粋に論理的に考えた場合、他者oと対象xの肯定的(又は否定的)関係は、自分pと他者oや自分pと対象xとの関係とは独立のはずです。しかし、人間は(ある意味非論理的な)関連付けを行うことで「態度」に影響がでてしまうというのが、ポイントになります。

認知的均衡理論はバランス理論やp-o-x理論と呼ばれることもあるようです。この考え方で、議論ではよくある敵の敵は味方みたいな考え方も解釈できます*1。敵をo、敵の敵をxとすると、p →マイナス→ o と、 o →マイナス→ xの関係といえます。認知的均衡理論からすると、この場合、選択肢は図の4か8になります。8は不均衡な状態ですから気持ち悪く、4の状態に落ち着くのが楽です。

注意して欲しいので前回に引き続き書きますが、「必ず矛盾が解消される」というわけではありません。

*1:例えば、ABO FAN氏が吉岡氏を味方のように扱っている件は、p=ABO FAN氏, o=kikulog, x=吉岡氏と置いてみるといいでしょう。