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説得:共感を伴う説明

ニセ科学 議論

説得の方法を考える(そしてやはり挫折するかも) - Skepticism is beautiful」で触れたように、人間は、単なる分かりやすい説明では納得しない場合が多いようです。今回はポイント2「共感を伴う説明」について、心理学的な要素を考慮しながら、考察してみたいと思います。
但し、懐疑論者らしい実証的な話はあまりなく、非常にうさんくさくなるのを承知の上での話です。

第一の共感

社会心理学的には、「わかる」とは「既存のスキーマ(情報処理をするための知識の枠組み)との関連付けができた」という状態として捉える向きがあります。そういった意味で、「説得における共感の重要性 - Skepticism is beautiful」で書いたような共感が必要だと考えられます。

つまり、説得者が相手のスキーマを共有した上で、そのスキーマからあまり外れないように、関連付けができるように説明をするということです。最終的にはスキーマ自体が大きく変化する必要があるわけですが、変化は少しずつにしないと、到底受け入れられないものになってしまうというわけです。もちろん、そんなに簡単な話ではありませんが、変化量を調節するためには、相手のスキーマを共有することが近道です。

誤帰属の問題

人は、ある結果を生じたとき、その原因を探します。探した結果見つけたものを原因とすることを、心理学では「原因帰属」又は単に「帰属」といいます。原因が間違っている場合は、特に「誤帰属」と呼びます。
人は自分で考えるほど、自分の感情や行為の原因(心の動き)を分かっていません。そのため、自分の行為や感情でさえも、色々な要素から推測した上で理解する必要があります。自分の心ですら直接的な観測ができないために、推測のエラーを起こします。これが誤帰属と呼ばれるものになるわけです。

批判に感じる嫌悪感

自分の知識とは異なる知識を得たとき、人は現在持ち合わせている知識と、新しい知識との矛盾を解消するように動機付けられます。これは社会心理学で「認知的不協和理論」などと呼ばれています。現在の知識と矛盾する新しい知識を手に入れることは矛盾を解決するという労力を必要とするというのが重要です。

通常、こういった矛盾の解決は感情的な嫌悪感を生じさせます。その嫌悪感は情報の提供者である説得者へ誤帰属されてしまう場合が多いのです。実際のところは、矛盾を解決するという労力に嫌悪感を感じているわけですが、論理的には矛盾の解決に嫌悪感を帰属するのがためらわれます。なぜならば、人は自分のことを賢明である*1と考えているからです。宙ぶらりんになった嫌悪感は、批判者の言動や人間性が原因だと帰属されやすくなるわけです。

説得を行おうとするのならば、被説得者に防御的態度を作ってしまう、このような嫌悪感は好ましくないものです。
そういった嫌悪感は、文章の書き方次第で大きくこそなれ、解消するのは困難です。

第二の共感*2

嫌悪感を解消する手立てとして候補に上げられるのが、感情の共感です。

臨床心理学やカウンセリングでは、感情の共感が重要視されています*3。それは、感情の共感によって、心の開いたやり取りができるためです。相手が防衛的態度にあるよりも、心を開いていた方が話が通じやすいのは当然ですから、説得においても感情の共感は重要です。

実際の行動としては、その感情を否定しないで認めること、受け止めることのように言われています。具体的なテクニックについては、詳しくないため書きません。

ポイント2「共感を伴う説明」で実現できること

明後日を向いた説得をしないことと、被説得者に話を聞いてもらう態度になってもらうことです。この時点で説得できる人は楽な方ではないかと思います。

*1:自分は常に正しくあろうとしている

*2:これは、より理論的実証性の乏しい話ではあります。

*3:子育て関連ではこれが転用されてますね