ホメオパシーFAQ

http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070501/p1
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070502/p1
ホメオパシーFAQ No.1 〜 No.6 の続きです。内容が被るものも多くなり全く体系的な知識にはなりませんが、リアルなFAQとして書きたいのでお許しください。

7. 確かに言われているほどの効果はないかもしれないけど、もしかしたら効くかもしれないし…。あなたの言うように副作用がないなら心配ないよね?

他に取り得る治療法がないのならば、効かない前提で試してみるのは悪くないかもしれません。もちろん、医者でも治療方法があるのならば、それをやめてまでホメオパシーに賭けるのは、悪い選択なので絶対にしないでください。
また、ホメオパシー自体の問題ではないともいえるのですが、注意して欲しいことがあります。以前、市販のレメディーに副腎皮質ホルモン(ステロイド)が入っていたという例があります*1
これは、明確な薬事法違反であるだけでなく、明らかなリスクにさらされることとなります*2
また、ベルギーでやせるためのレメディの処方で、少なくとも70人が腎臓移植や腎臓透析を受けることになった例もあります*3
ホメオパシーの効果があるという可能性は非常に低いのに対し、ホメオパシー周りではリスクが付きまとうというのが現実です*4

8. 実害なんか聞いたことないし、効果があると感じているんだから、構わないでくれる?

実害を聞いたことがないといっても、実害が起こっていないわけではありません。ホメオパシー創始者のサミュエル・ハーネマンが、自身のマラリア経験をきっかけにホメオパシーを始めたことが影響しているのか、マラリアにはホメオパシーが有効だと考える人が多くいます。
マラリアを患った際にホメオパシーでの治療を試みたため、症状が悪化し多臓器不全までになった悲惨な例もあります*5。マラリアでの死亡者は沢山存在しますが、その理由は適切な予防接種を受けないことです。そして、予防接種を受けない理由としてホメオパシーの影響も指摘されています*6
肺炎の治療にレメディを用い、症状が悪化し緊急手術を受けた例もあるようです。
またインドではHIVにホメオパシー薬を用いたものの、(当然)効果はなく、症状が悪化したケースなどもあります。
つまり、正等な医療を受けない、または効果のある治療を遅らせることによって、重篤な症状になってしまっている例があります。
このように確かに間接的ではあるものの実害は存在するのです。また「効果があると感じている」のは事実かもしれませんが、前述したとおりそれは間違いの可能性が高いと言えます。

9. 効かない効かないって…効かないものが残るはずないでしょ?

確かに、よく効くものは残りやすいという面はあるでしょう。しかし、効かないからといって残らないわけでもありません。ホメオパシー自体がそれを証明しています。
また、漢方の生薬はホメオパシーより歴史が古いのですが、効果は確認されていないのに副作用だけはしっかり確認されたものまであります。それでも現代まで残っていたわけです。長く残っているからといって、効くというわけではないことを理解頂けたでしょうか。

誤解してほしくないのは「治ったと感じた」ことは、厳然たる事実であることです。これは否定していないのです。治ったと感じるのは自然なのです。ただ、それが誤解である可能性が十分あるというだけのことです。

治ったと誤解してしまう要素は沢山あります。それは人間の性質といってもいいようなものなのでしょうがないのです。これはホメオパシーに限らず全ての医療に関することです*7
そのような誤解を避けるために、二重盲検のような方法を用いるわけです。道具を使う事で人間の性質の弱点を補い、間違いを最小化しようとしているわけです。
効かないものでも、効くと思われることはありますし、長い年月残ることもあります。効く効かないと、残るか残らないかは独立しています。


この記事は次に続きます
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20070508/

*1:これはホメオパシー用に極度に希釈されたものではなく、検出可能な濃度でということです

*2:外用のステロイドはあまり怖くないが、医師の指導なしに内服するのはよくない

*3:詳細がわからないのですが、濃いレメディを用いるグループだったのかもしれません。詳しい情報があれば教えてください。

*4:改めて強調しますが、ホメオパシー本来のリスクではありません。しかし、現実的にはホメオパシーを用いる際のリスクが存在しているということです

*5:マラリアには有効な薬が存在するそうです

*6:ホメオパスがMMRワクチン接種に反対してホメオパシー予防法を薦めるなどの問題になっています

*7:専門家である医師ですら、感覚で判断していては間違うのです