ニセ科学

量子力学は科学の方法論に何の攻撃もしてませんし、ダメージを与えたという事実もありません

「はてな」でid:ajtptwtptjaさんに呼びかけられたので反応します。典型的な誤解なので、探せば適切で分かりやすい説明がありそうなのですが、自分の経験にするために返答してみます。ニセ科学問題からは離れます。 量子力学とかについては、間違いがあったら…

科学はその成功ゆえ誤解される運命に

既にどこかにもっと分かりやすい適切な話がありそうなのですが、「はてな」というエントリの「謙虚さが足りない」に対し脊髄反射的にエントリを上げてしまいます。一応、自然科学を頭に置いてますが、科学と呼ばれるのが適切な分野なら殆ど当てはまるものと…

批判をするのならば「いかにして問題」に逃げないこと

経緯*1 もとともは大槻教授が「ムペンバ効果」に対して行った批判*2がダメダメすぎるというところから始まりました*3。その反応として「捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!」というエントリが立ち、「いかにして問題」の話になります。 亀さんのところの…

フェスティンガーの認知的不協和理論(社会心理学 第三回)

さて、ニセ科学批判系の話ではよく出てくるフェスティンガーの認知的不協和理論(congnitive dissonance theory)です。よく出てくる割には意外に教科書的な説明が見つからないです。 基本的説明 獲得した認知間に食い違いや矛盾が存在すると(不協和関係)、…

ハイダーの認知的均衡理論(社会心理学 第二回)

基本的説明 「認知的均衡理論(congnitive balance theory)」は、自分(P)と、他者(O)と、対象(X)の間には、均衡状態と不均衡状態があり、不均衡状態にある場合は、不均衡を解消するように動機付けられるという理論です。以下に均衡状態と不均衡状態の図を示し…

態度と認知的一貫性理論(社会心理学 第一回)

基本的説明 社会心理学において「態度(attitude*1)」とは以下の3要素に分けて考えられるとのことです。 「態度(attitude)」 感情 認知 行動 「認知的一貫性理論(cognitive consistency theory)」は人の「態度」に関する理論です。態度に関する古典的な理…

改めて社会心理学のお勉強をしてみる(社会心理学 プロローグ)

ここでは議論や説得についていくつか記事を書いてきました。今までは通俗書から得た(つまみ食い的な)心理学の知識と自身の議論経験を頼りに書いてきました。本来この手の話は主に社会心理学が対象としてきた分野ですので、ここら辺で社会心理学の教科書的…

特殊な選択的思考の実例としてABO FAN氏発言を見る

池内了『疑似科学入門』の血液型性格判断への言及について、血液型性格判断擁護者としてとても有名なABO FAN氏から具体的な指摘が出ています。実際のところ『疑似科学入門』にはこの手のダメな批判が散見されるので、私も「論じている対象に詳しくないために…

説得:逃げ道の用意をすべきである理由

今回は、「説得の方法を考える(そしてやはり挫折するかも) - Skepticism is beautiful」のポイント3「逃げ道の用意」について書きます。逃げ道は必要という話について、菊池誠教授が一度「逃げ道は塞がない」という批判の指針に触れていたことがあるぐら…

説得:共感を伴う説明

「説得の方法を考える(そしてやはり挫折するかも) - Skepticism is beautiful」で触れたように、人間は、単なる分かりやすい説明では納得しない場合が多いようです。今回はポイント2「共感を伴う説明」について、心理学的な要素を考慮しながら、考察して…

説得の方法を考える(そしてやはり挫折するかも)

さて、説得について偉そうなエントリを上げてきたので、実際に使える方法の提案まで進めるのが望ましい事だと思います。しかし、数多の偉大な先人も成功してきたとは言い難いトピックですので、私が挫折したところで、何の不思議もないでしょう*1。 前提事項…

説得における共感の重要性

議論や対話に重要なこと - Skepticism is beautiful」では、以下のような指針を提示しました。この指針の背景についてもうちょっと違う表現で書いてみたいと思います*1。 相手の言っていることは基本的に正しいことだとして解釈せよ 相手の言い分が非合理で…

空気は読んで踏みにじるもの

「空気は読んで踏みにじるもの」というダイアリーがある。なんというか、そのタイトルにガツンとやられた。リンク先への言及ではありません。 空気を読んだ上で、その空気から外れたことをするのと、はじめから読まないのでは大違いである。なぜなら、空気を…

科学は絶対ではない

信奉者から批判者に向けられる「科学権威主義ではないか?」といった批判(非難?)がある。私たち批判者は、そんなことは百も承知だと思っているため、「まともな科学者で科学を絶対だと思っている人などいない」とか「それは科学者が一番知っている」とい…

信奉者の問題を過大評価する可能性のある4つのバイアス

はじめに注意しておきたいのは、人間には様々なバイアス*1が存在しますが、それはバイアスと反対方向に認識を偏らせれば正しいということを意味するわけではありません。バイアスの反対方向の考えがよりもっともらしいというわけでもありません。 単に、バイ…

相手の態度はコントロール不可能ではない

批判されて、なるほどわかりました、となる人は少ない - カナかな団首領の自転車置き場と、ぽりあんてなというエントリを読んだ。どちらも、批判や議論、説得のコミュニケーションに関する話です。ニセ科学批判の話が前提にある模様。 批判というコミュニケ…

使い方次第で批判的思考は良くも悪くもなる

基本的に「批判的思考をしよう!」というベースがあるわけですが、その上で批判的思考の限界の認識もあった方が良いと思います。 批判的思考と論理的思考との違い 批判的思考は、単純に論理的思考と一致しません。論理は理想的な状態で前提から必然的に導か…

それでも私は彼らをバカなどではないと言い続けるッ!!

トラックバックいただいたバカへの信を問う - モジモジ君の日記。みたいな。というエントリを受けて*1。id:mojimojiさんが自分の中にしかない自分定義で「バカであるその人を目的とするようにバカにしろ」と主張するのと同じように、私は私が勝手に一般的な…

信奉者は批判的思考を扱えないわけではない

ニセ科学や超常現象、オカルトなどを信じている人が単なるバカではないということについては、もうちょっと掘り下げてみてもいいかもしれないと思ったのでさらに書きます。 思考のバイアス 心理学では、結論をもっともらしいと感じる意見は批判的思考*1にさ…

あなたの周りにいる人はバカばかりですか?

ニセ科学や超常現象、オカルトなどを信じている人(世の中の多数派を占める人)がバカであるという考え方をする人は、id:mojimojiさんに限らず特に珍しくありません。私の印象だけで言えば、むしろ主流かもしれないと感じます。もし、あなたがそういう考えを…

で、それはどなたのことで?

十字軍はバカに勝てるか - モジモジ君の日記。みたいな。というエントリを読んだ。本文が長いので、まずは自分用にまとめます。尚、id:mojimojiさんの疑似科学の定義がオレオレ定義であることが判明しているので、疑似科学という言葉は用いず「ニセ科学とそ…

知識は正しい方がよい

「知識は正しい方がよい」などという考え方は、「知的倫理観」などというもっいぶった言い回しをするまでもなく当たり前のようですが、世の中では比較的無頓着に扱われています。人間は意外と合理的 - Skepticism is beautiful という話で終了した話の続きで…

池内了『疑似科学入門』が懐疑論者ホイホイな件について

懐疑論者なら、何かを言わずにはいられなくなるのではないだろうか? この本は疑似科学への入門書ではなく、疑似科学のことを知らない人へ免疫をつける事を狙った本。帯は「ニセ科学のわなに落ちないために」であって、書名よりむしろこっちの方が意図を的確…

菊池誠さんや天羽さんが話題にしているからと言って全てがニセ科学の問題ではない

言いたい事はタイトル通りで、あまりにも当たり前のことなのですが、どうも菊池さんや天羽さんが話題に出していると(問題視していると)、全て「ニセ科学」の話題だとして解釈している人が居るようです。これは特にニセ科学批判批判*1の文脈で見られるよう…

疑似科学の定義問題

疑似科学って言いたいだけちゃうんかと - Skepticism is beautifulという記事を書いたわけですが、疑似科学って言いたくないだけちゃうんかと - モジモジ君の日記。みたいな。という返信をもらったので、返答はしておくべきかな?と。id:mojimojiさんはもっ…

疑似科学って言いたいだけちゃうんかと

疑似科学問題とはいかなる問題か - モジモジ君の日記。みたいな。というエントリを読んだ。用語を無視すれば全体的に書いてあることは至極もっともだと思う。もったいないので、用語に突っ込みを入れたい。 思うに、疑似科学問題とは、疑似科学と科学の区別…

あなたが懐疑主義だと思っているものは懐疑主義ではない

「知識は正しい方がよい」という話をもうちょっと掘り下げようと思ったら、なぜか懐疑論になってしまったので、先にこっちを投下します。 懐疑主義とは疑うことではない まかり間違って私の文章を読んでいるような人から見ると、世間には「あまりに簡単に信…

寂しい気持ち

404 Blog Not Found:疑う者を信じよ - 書評 - 疑似科学入門という書評を読んで思ったことが。小飼 弾氏が疑似科学やニセ科学に言及するたびに寂しくなります。いや、私としてはアルファブロガーという立場の人がどんどん「ニセ科学」や「疑似科学」に言及し…

なぜニセ科学に言及するか

id:dlitさんの僕がニセ科学問題に(ちょこちょこ)コミットしているわけβ版 - 思索の海という記事を読んで、私も書いてみようと思った。 今そこにある問題 今の世の中には非合理が蔓延していると思います。そしてその状況を良いとは考えていません。なにか、…

人間は意外と合理的

呪術で読み解くニセ科学 ニセ科学がらみの話題で呪術の話が盛り上がっています(いました)。きっかけは、id:Francisさんの「図説金枝篇を読んでニセ科学について考えた - あなたの正義は誰を殺しますか」というエントリの模様(はてブで言及されているリン…